はじめに

 バッティングも同じで、打球を飛ばすために、まずバットで球をミートし、力が伝わるスイングをし、振りぬく。流し打ち、ゴロを打つダウンスイング、犠牲フライの上げ方などのテクニックは、フォームが出来てあとの話だ。

 ゴルフの場合では、スライスやドライブの

傾斜したボードと4本のピンで留めた紙、これがクライミングにおける岩壁と、それにしがみついているクライマーの重力の状況のすべてを説明している。

 まず最初にこの実験から言えるのは、他の3本のピンさえしっかりしているなら、4本目のピンは、紙の重力を支えるためでなく、紙がそのもとの形状の4角形を保つために働いているに過ぎないことがわかる。

 ようするに人間の場合も、手足4本のバンザイ姿勢で壁に張り付いていても、そのうち1本は体重を支えているというより、いわゆるバンザイ姿勢を保つために、使われているということになる。ならば、そんな姿勢保持のための支点は取っ払ってしまった方がいい。人間の体はなにも4角形というわけではなく、小さくまとめたりもできる。

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 つまり、紙は4角形でなくともいい、ということになるので、今度は3方だけボードに留めようというわけで、三角形の紙で考えてみる。3方のピンのうち、今度も1本を抜いてみよう。このときも、さっきと同じようなことが起きる。留めていた紙の部分がボードから離れ、開いてぶらさがる。

 歩く場合は支持点が両足の2つ(補助的に手を使う場合もあり、正対もそのケースである)だが、クライミングは手足4本になる。人間の2本足から、動物の4本足の動きをする。そうすれば、身体の重心の動きは格段に広がり、運動領域も拡大する。

 とはいっても、クライミングの身体の支持は手足4本を同時に使うわけではない。あくまで選択肢としての支持点だ。実際に選択するのは3点ないし2点である。ただし、歩く場合のように両足でなく、手も積極的な支持点とする。こうすることで、身体の運動域が大きく広