傾斜したボードと4本のピンで留めた紙、これがクライミングにおける岩壁と、それにしがみついているクライマーの重力の状況のすべてを説明している。
まず最初にこの実験から言えるのは、他の3本のピンさえしっかりしているなら、4本目のピンは、紙の重力を支えるためでなく、紙がそのもとの形状の4角形を保つために働いているに過ぎないことがわかる。
ようするに人間の場合も、手足4本のバンザイ姿勢で壁に張り付いていても、そのうち1本は体重を支えているというより、いわゆるバンザイ姿勢を保つために、使われているということになる。ならば、そんな姿勢保持のための支点は取っ払ってしまった方がいい。人間の体はなにも4角形というわけではなく、小さくまとめたりもできる。
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つまり、紙は4角形でなくともいい、ということになるので、今度は3方だけボードに留めようというわけで、三角形の紙で考えてみる。3方のピンのうち、今度も1本を抜いてみよう。このときも、さっきと同じようなことが起きる。留めていた紙の部分がボードから離れ、開いてぶらさがる。